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住宅の気密性を表す言葉としてC値があります。
あまり聞きなじみのない方も多いのではないでしょうか。
住宅の性能をチェックするためにも知っておいて損はない言葉です。
この記事ではC値とは具体的にどのようなものなのか、目指すべきC値の基準について解説するのでぜひお役立てください。
家のすき間をできる限り減らして、室内の空気が外に逃げにくく室外の空気が中に入りにくくした住宅のことを気密性の高い家としています。
これにより、快適な温度を保ちやすいというメリットが生まれます。
上記でも示しましたが、C値は家全体でどれくらいのすき間があるのか表した値です。
計算方法としては、すき間の合計面積(㎠)を建物の延べ床面積(㎡)で割り、[㎠/㎡]という単位で表します。
またの名を、すき間相当面積と呼ぶこともあります。
例えば、すき間の合計が400㎠、延べ床面積が100㎠なら、400(㎠)÷100(㎡)で4[㎠/㎡]という値を出せます。
少し前は「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」に基づく「次世代省エネルギー基準」にて、地域ごとにC値の基準が定められていました。
北海道、東北の一部の地域では2.0、それ以外の地域、東京や大阪では、5.0が基準とされていて、C値が基準を下回る住宅は「高気密住宅」と定義されていました。
しかし、2009年の省エネ法改正により、上記の基準は廃止され、「高気密」を定義する明確な基準は、現在存在していません。
また、当時の日本の基準は緩やかなものといえます。
諸外国の基準と比較すれば一目瞭然です。
カナダでは0.9、スウェーデンでは0.6~0.7以下など、非常に厳しい基準を採用している国も少なくありません。
断熱脳性能を表すQ値は、計算することで求められます。
しかし、C値は実際に建設される建物において、基本的には計算で求められません。
気密測定と呼ばれる、気密測定器という機械を用いた測定法を使うことにより求められます。
正式には建物が完成した状態で計測するのですが、数値が良くない場合はやり直しがきかないので、一般的には気密施工を終了した段階で計測します。
効率よく換気扇を効かせるためには、C値は0が理想とされています。
しかし、様々なことを考慮するとゼロという値にすることは限りなく不可能といえます。
実際、0にできたとしても維持することは非常に困難です。
ゼロを目標としつつも、出来る限りの気密を確保することが重要になります。
目標の数値としては、0.5以下を心掛けたいところです。
また必要な気密性能は喚起方法によって変わります。
喚起には必ず空気が入る側と空気が家から出る側があります。
これらをどちら側の換気扇に付けるかによっても、換気の種類が異なります。
1つ目は、省エネルギーで部屋の温度を快適にするからです。
気密性が低いと、暖房をつけても暖かい空気が部屋から外に漏れ、漏れた分の冷たい空気が家に流れこみ、足元が冷えます。
夏は蒸し暑い空気が入り、エアコンをフルで稼働しなければならないことになります。
そのためすき間の少ない家は暖かい空気が漏れにくく、冷たい空気が侵入しないため省エネルギーで温度を保てます。
2つ目は、結露による壁内の腐敗や腐朽菌を防ぐためです。
すき間があると、すき間から湿気が壁内に流れ込んでしまい、柱を腐らせ、腐朽菌の増加の原因になります。
家のすき間をできるだけ少なくすることが、家の腐敗を防ぐポイントになります。
3つ目は、喚起の効率化により悪臭を防ぐからです。
生活には水蒸気や二酸化炭素など、様々な汚染物質が発生します。
これらを減らすためには定期的な喚起が不可欠です。
汚染物質が溜まって、不衛生な部屋にしないためには、可能な限りすき間を減らして常に換気扇を回すことが重要です。
4つ目は、大気汚染物質の侵入を防げることです。
すき間が多いと換気扇にフィルターを付けても、すき間から汚染物質が侵入する恐れがあります。
最近では健康被害の原因になる有害物質が増加しているので注意が必要です。
すき間の少ない家は、適切なフィルターを付けることできれいな空気を入れられます。
5つ目は、依頼する建築会社の施工品質を確認できることです。
すき間の少ない家にするためには、広い知識と高い技術力が必要になります。
この2つがないと気密性の高い家を作れません。
そのため会社の施工品質を確認する場でもあるといえます。
この記事ではC値の基本的な解説から、基準、そしてC値の必要性を説明しました。
気密性の高い家、つまりC値が低い家を作るとメリットがたくさんあります。
C値について相談したい方は、当社にご連絡ください。