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2023.05.23住宅性能表示基準とは?細かな表示項目について解説します!
住宅性能表示基準とは?細かな表示項目について解説します!

住宅を建てるとき、間取りや外観、デザインなど見える部分に目が向けられることが多いでしょう。

それとは逆に、住宅の性能などは目に見えないものでよく分からない方が多いのではないでしょうか。

そこで今回は、住宅性能表示で細かく評価される項目について解説します。

□住宅性能表示基準とは?

住宅性能表示基準は法律によって定められています。

住宅性能の評価は、住宅性能表示基準に従って結果が表示されています。

表示必須項目は以下の4分野です。

1.構造の安定

2.劣化の軽減

3.維持管理・更新への配慮

4.温熱環境・省エネルギー性

上記以外の項目は、以下のとおりです。

1.火災時の安全

2.空気循環

3.光・視環境

4.音環境

5.高齢者等への配慮

6.防犯

□住宅性能の表示項目について解説します!

まずは表示必須項目から紹介していきます。

・構造の安定に関すること

これは地震、暴風、積雪などに対する倒壊、崩壊、損傷しにくさを評価します。

等級が高いほどこれらに対して強いことを示します。

等級が1であっても、建築基準法は満たしている住宅なので倒壊する可能性は低いですが、評価機関が工事を検査するため、手抜き工事やミスを減らすことにつながります。

・劣化の軽減に関すること

これは建物全体の改修工事を必要とするまでの期間を評価しています。

等級が高いほど、柱や土台などの耐久性が高く耐用年数が長いことを意味します。

等級2では、通常の維持管理をした場合、約50〜60年は改修工事が必要にならないという評価です。

等級3では、同じ条件で約75〜90年は改修工事が必要にならないという評価です。

・維持管理、更新への配慮に関すること

給排水管、給湯管、ガス管の維持管理、更新のしやすさを評価します。

維持管理とは清掃や点検、補修のことを表します。

等級が高いほどこれらの配管類が清掃、点検、補修しやすいことを意味します。

・温熱環境、省エネルギー性に関すること

これは冷暖房を使用するエネルギーを節約するための断熱性などを評価します。

また、冷暖房機器、換気、給湯、照明や太陽光発電などに関しても総合的に評価されます。

以上が4つの表示必須項目に関する概要です。

次は、表示が必須ではない6項目について解説します。

・火災時の安全に関すること

これは火災が発生したときの、避難しやすさ、火災を早めに感知できるか、燃え広がりにくさ、近隣の建物からの延焼しにくさなどを評価します。

・空気循環に関すること

シックハウスの原因とされているホルムアルデヒドを発生させる接着剤を使った建材などの使用状況を評価します。

他には、換気設備に関しても評価の対象です。

・光、視環境に関すること

外壁や天井に設置された窓がどのくらいの大きさで設けられているのか、各方位に関して評価します。

・音環境に関すること

これは主に共同住宅の場合の評価項目です。

上の階と下の階への、足音や物音などの衝撃音がどれだけ遮断されているかを評価します。

・高齢者等への配慮に関すること

住宅内における高齢者等が安全に移動できるか、移動時の配慮がされているかを評価します。

実際には、段差を小さくしたり、階段の勾配を緩やかにしたりといったことが評価基準です。

・防犯に関すること

想定される外部の侵入を防止しているかを評価しています。

住宅のバルコニーやドア、窓などが防犯対策されているかなどが評価基準です。

□住宅性能表示は大事?取得するメリットとデメリット!

ここまでは住宅性能表示基準が何を評価しているのか見てきましたが、次は実際に取得するメリットとデメリットについて解説していきます。

*住宅性能表示基準を取得するメリット

支出の削減と資産価値維持という主に2つのメリットがあります。

構造の安定、温熱環境・省エネルギー性に関する項目の評価が高い場合、光熱費や保険料を減らせます。

構造の安定に関して、耐震等級3を取得できると地震保険料が50%割引が適用されます。

また、耐震等級2の場合でも30%割引、等級1の場合でも10%割引されます。

保険料だけでなく税制優遇や、金利優遇を受けられる可能性もあります。

温熱環境・省エネルギー性に関して高い等級を取得した建物は、光熱費を大きく削減できます。

具体的には断熱等級3の建物と、断熱等級4の建物では1年にかかる光熱費が約6万円安くなるというデータがあります。

資産価値維持という観点においては、住宅性能が高い建物ほど価値が下がりにくい傾向があります。

例えば、耐震に関しては1981年の耐震基準の改定により、旧耐震と新耐震と明確に区別されるようになりました。

その結果、旧耐震の建物は新耐震の建物に比べて、価格や審査などが不利です。

*住宅性能表示を取得するデメリット

コストがかかることと、設計の自由度が下がることがデメリットとして挙げられます。

住宅性能の向上のためには、性能の良い建材を用いたり、断熱性の高い構造にしたりする必要があるため、費用がかかってしまいます。

しかし、その分だけ性能が上がるため、資産価値として考えればただのデメリットとは言えないでしょう。

また、住宅性能表示を取得するとなると、間取りやデザインの自由度が下がる場合があります。

例えば、耐震性を高めるには一定量の壁が必要になります。

その結果、吹き抜けを作れなかったり、壁、柱のない大空間は作れなかったりする場合があります。

□まとめ

今回は、住宅性能表示基準とはなにか、細かな項目の概要と取得するメリット、デメリットについてご紹介しました。

住宅性能とは耐震性や耐久性、断熱性などの項目を評価していて、高い等級を取得すれば長い目で見て経済的なメリットになる可能性があります。

今後も評価基準が変更される可能性があるため、現時点で高い等級を取っておくことで将来的にも見劣りしない建物になるでしょう。